そこは一面花で一杯の花園。その中に1人の女の子の姿があった。名は鈴蘭。
「キレイ。」
「鈴蘭。」
「誰?」
鈴蘭の前に現れたのは仮面を被った怪しい人。
「久しぶりだね鈴蘭。さぁ思い出して俺の名前を・・・。」
怪しい笑み。その仮面の男が私に近づきキスをした。
「!!!」
窓からは朝日の光が零れていた。
「ゆ・・・め。・・・夢か。」
鈴蘭はリビングへと向かう。私は1人暮らしだ。毎朝お花に水をやるのが日課。
「嫌な夢だったな。」
「鈴蘭、おはよう。」
「おはよう。今日は早いね。いつも遅刻ギリギリなのに。」
「おう!今日は特別だ!」
「へぇ~。」
この朝から元気な男。隣に住む光。
「何だよ。冷たいな。昔からの仲なのに・・・。
「・・・。言いたかったら言っていいよ。」
そう、昔からの仲とは幼稚園の時から今の高校まで今のところずっと同じところ。
「そういえば朝からいつもより元気ないな。」
「え?分かる?」
「そりゃいつも見てるから。」
「そうだよね。実は、今日嫌な夢見たの。」
「どんな?」
「最初は一面花で一杯の花園に私だけが居て、後から仮面を付けた人が現れて・・・う゛っ。」
「現れて?」
少し頬を膨らませる鈴蘭。
「キス・・・された。」
「キ・・・キス!?」
「うん。」
「・・・あれ?昔もこんな話聞いたな。」
「え?」
「小さい時も見て無かったか?」
「・・・う~ん。でも、夢で『思い出して、俺の名前を・・・。』って言ってた。」
「へぇ~。で?」
「で??」
「そいつ見てかっこいいとか思ったわけ?」
「え?ううん。怪しい人。」
今日の授業はやけに眠気に襲われた。
「何で今日、こんなに眠いの?」
バルコニーで風に当たる鈴蘭。
「帰る前に・・・少し・・・ね・・て・・。」
意識はすぐに暗い闇へと落ちていった。
「ここ・・・。」
「酷いな。久しぶりの再会の第一印象が怪しい人だなんて。」
「あなた今日の夢の・・・夢?」
「ああ。夢だ。だけど夢じゃない。」
「どういう意味?」
「さぁ。それは俺の名前を思い出したらご褒美に教えてあげるよ。」
「え?ちょ・・・!」
「待って!!」
鈴蘭は赤く染まった夕空に手を伸ばしていた。
「大丈夫か?」
顔を覗き込んでくる光。
「ひ・・かる。」
「何かあった?」
「・・・夢。・・朝見た夢を見てたの。」
「あの怪しいやつ?」
「うん。」
「また何かされたのか?」
「夢だけど夢じゃないって・・・。その理由を聞こうとしたら名前を思い出せって・・・。」
「名前・・・。なんか普通の名前だったよな?」
「・・・うん。」
「り・・・りゅ・・?」
「・・・。」
【・・・せい!】
もっと思い出して!!
【流星!!】
「!!!」
「鈴蘭?思い出したのか?」
「うん。」
「で?」
「流星・・・。」
「あ~。」
「このこと考えてるだけで家に着いちゃったね。」
「じゃ明日な。」
「遅刻しないようにね。」
「・・・なぁ・・。」
「ん?」
「今日、特別だって言ってたあれな・・・。俺、鈴蘭のこと・・・。」
「うん。」
「いや、何でもない!」
そう言うと家の中へと入っていった。
「やっと思い出してくれたんだね。」
「うん。」
「じゃ約束。夢であって夢じゃないのは・・・ここは鈴蘭の世界・・・鈴蘭はここの住人でもある。」
「それはそうでしょ?」
「でも、夢だったら傷みとかそういうの感じないんだ。でも、記すの感覚、感触はあっただろ?」
「!!!」
鈴蘭の顔を上げる。
「俺たちの約束・・・忘れた?」
「え?」
「・・・。」
仮面ではっきり表情は分からないけれど、少し悲しんでいるように思えた。
「ごめん・・・なさい。」
「思い出して、俺のこと全て思い出して・・・そしたら鈴蘭は・・・。」
途中で目が覚めてしまった。
光はもちろん遅刻の可能性は大だ。
「流星・・・。」
夢の中で言われたこと、流星を悲しませてしまったことで思い出そうとしていた。責任を感じていた。そのために、私は・・・
事故にあってしまった。
「鈴蘭?どうしてこんな時間にいる?」
「え?私・・・登校してて。!!事故に・・・合って・・・。」
「!!!」
「その時、思い出したの・・・流星とのこと。」
「それで?」
「私・・・。ここにいたい。流星と一緒にいたい。でも・・。」
「でも?」
「現実の世界も私は好きなの。」
「でも、夢で久しぶりに俺に会えたって事は鈴蘭は俺のことを求めていたってことだ。」
「・・・え?」
「昔、会った時は鈴蘭は6歳だったな。」
「うん。」
「いつも泣いていた。お母さんとお父さんが居なくなってからずっと。」
「うん。」
*
*
*
私は泣きながらいつも寝ていた。そんなある日。
「どうして泣いてる?」
仮面を付けた男の子がいた。
「お父さんと、お母さんが居なくなっちゃったの。こんなにきれいなお花。鈴蘭の好きなお花があるのに・・・涙が・・とまら・・ない。」
泣いている私を優しく包み込む男の子。
「俺がそばにいるよ。」
「う~。」
「俺は流星だ。よろしくな鈴蘭。」
「流星!!流星!!」
「鈴蘭。」
「今日は何処行くの?」
「・・・。」
流星はじっと私を見ていた。
「流星?」
「前よりも元気になってきたな。」
「え?うん!流星のおかげ!」
「・・・。」
少し寂しそうな表情をしているように思えた。
その日をきっかけに流星と会えなくなってしまった。
*
*
*
その日の最後に私、【流星のお嫁さんになる】って言ったんだ。
「流星・・・。」
「いいよ。でも次に夢で俺が出てきた時は俺の嫁になってもらうからな?」
「・・・うん!!」
「さぁ意識を取り戻すんだ。」
「ありがとう流星。大好きだよ!」
目をうっすらと開ける。日の光が眩しく視界が定まらない。
「鈴蘭!?」
「ひか・・・る?」
目を覚まし、数日後で退院。
「そんなことがあったのか。」
「うん。」
事故に遭ってからの夢を教えた。
「最後に初めて仮面の下を見た。顔を見た。とても優しい顔だった。」
「そうか・・・。俺の会は実らないな。」
「へ?」
「いや、なんでもない。」
「そう・・・。また、流星に会えるかな?」
「・・・会えるさ。忘れずに流星を求めたら。」
「うん。」
夢のような恋。
今はこっちを選んでしまったけれど・・・・
きっとまた貴方に会えるよね?
流星・・・。
fin
「キレイ。」
「鈴蘭。」
「誰?」
鈴蘭の前に現れたのは仮面を被った怪しい人。
「久しぶりだね鈴蘭。さぁ思い出して俺の名前を・・・。」
怪しい笑み。その仮面の男が私に近づきキスをした。
「!!!」
窓からは朝日の光が零れていた。
「ゆ・・・め。・・・夢か。」
鈴蘭はリビングへと向かう。私は1人暮らしだ。毎朝お花に水をやるのが日課。
「嫌な夢だったな。」
「鈴蘭、おはよう。」
「おはよう。今日は早いね。いつも遅刻ギリギリなのに。」
「おう!今日は特別だ!」
「へぇ~。」
この朝から元気な男。隣に住む光。
「何だよ。冷たいな。昔からの仲なのに・・・。
「・・・。言いたかったら言っていいよ。」
そう、昔からの仲とは幼稚園の時から今の高校まで今のところずっと同じところ。
「そういえば朝からいつもより元気ないな。」
「え?分かる?」
「そりゃいつも見てるから。」
「そうだよね。実は、今日嫌な夢見たの。」
「どんな?」
「最初は一面花で一杯の花園に私だけが居て、後から仮面を付けた人が現れて・・・う゛っ。」
「現れて?」
少し頬を膨らませる鈴蘭。
「キス・・・された。」
「キ・・・キス!?」
「うん。」
「・・・あれ?昔もこんな話聞いたな。」
「え?」
「小さい時も見て無かったか?」
「・・・う~ん。でも、夢で『思い出して、俺の名前を・・・。』って言ってた。」
「へぇ~。で?」
「で??」
「そいつ見てかっこいいとか思ったわけ?」
「え?ううん。怪しい人。」
今日の授業はやけに眠気に襲われた。
「何で今日、こんなに眠いの?」
バルコニーで風に当たる鈴蘭。
「帰る前に・・・少し・・・ね・・て・・。」
意識はすぐに暗い闇へと落ちていった。
「ここ・・・。」
「酷いな。久しぶりの再会の第一印象が怪しい人だなんて。」
「あなた今日の夢の・・・夢?」
「ああ。夢だ。だけど夢じゃない。」
「どういう意味?」
「さぁ。それは俺の名前を思い出したらご褒美に教えてあげるよ。」
「え?ちょ・・・!」
「待って!!」
鈴蘭は赤く染まった夕空に手を伸ばしていた。
「大丈夫か?」
顔を覗き込んでくる光。
「ひ・・かる。」
「何かあった?」
「・・・夢。・・朝見た夢を見てたの。」
「あの怪しいやつ?」
「うん。」
「また何かされたのか?」
「夢だけど夢じゃないって・・・。その理由を聞こうとしたら名前を思い出せって・・・。」
「名前・・・。なんか普通の名前だったよな?」
「・・・うん。」
「り・・・りゅ・・?」
「・・・。」
【・・・せい!】
もっと思い出して!!
【流星!!】
「!!!」
「鈴蘭?思い出したのか?」
「うん。」
「で?」
「流星・・・。」
「あ~。」
「このこと考えてるだけで家に着いちゃったね。」
「じゃ明日な。」
「遅刻しないようにね。」
「・・・なぁ・・。」
「ん?」
「今日、特別だって言ってたあれな・・・。俺、鈴蘭のこと・・・。」
「うん。」
「いや、何でもない!」
そう言うと家の中へと入っていった。
「やっと思い出してくれたんだね。」
「うん。」
「じゃ約束。夢であって夢じゃないのは・・・ここは鈴蘭の世界・・・鈴蘭はここの住人でもある。」
「それはそうでしょ?」
「でも、夢だったら傷みとかそういうの感じないんだ。でも、記すの感覚、感触はあっただろ?」
「!!!」
鈴蘭の顔を上げる。
「俺たちの約束・・・忘れた?」
「え?」
「・・・。」
仮面ではっきり表情は分からないけれど、少し悲しんでいるように思えた。
「ごめん・・・なさい。」
「思い出して、俺のこと全て思い出して・・・そしたら鈴蘭は・・・。」
途中で目が覚めてしまった。
光はもちろん遅刻の可能性は大だ。
「流星・・・。」
夢の中で言われたこと、流星を悲しませてしまったことで思い出そうとしていた。責任を感じていた。そのために、私は・・・
事故にあってしまった。
「鈴蘭?どうしてこんな時間にいる?」
「え?私・・・登校してて。!!事故に・・・合って・・・。」
「!!!」
「その時、思い出したの・・・流星とのこと。」
「それで?」
「私・・・。ここにいたい。流星と一緒にいたい。でも・・。」
「でも?」
「現実の世界も私は好きなの。」
「でも、夢で久しぶりに俺に会えたって事は鈴蘭は俺のことを求めていたってことだ。」
「・・・え?」
「昔、会った時は鈴蘭は6歳だったな。」
「うん。」
「いつも泣いていた。お母さんとお父さんが居なくなってからずっと。」
「うん。」
*
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私は泣きながらいつも寝ていた。そんなある日。
「どうして泣いてる?」
仮面を付けた男の子がいた。
「お父さんと、お母さんが居なくなっちゃったの。こんなにきれいなお花。鈴蘭の好きなお花があるのに・・・涙が・・とまら・・ない。」
泣いている私を優しく包み込む男の子。
「俺がそばにいるよ。」
「う~。」
「俺は流星だ。よろしくな鈴蘭。」
「流星!!流星!!」
「鈴蘭。」
「今日は何処行くの?」
「・・・。」
流星はじっと私を見ていた。
「流星?」
「前よりも元気になってきたな。」
「え?うん!流星のおかげ!」
「・・・。」
少し寂しそうな表情をしているように思えた。
その日をきっかけに流星と会えなくなってしまった。
*
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その日の最後に私、【流星のお嫁さんになる】って言ったんだ。
「流星・・・。」
「いいよ。でも次に夢で俺が出てきた時は俺の嫁になってもらうからな?」
「・・・うん!!」
「さぁ意識を取り戻すんだ。」
「ありがとう流星。大好きだよ!」
目をうっすらと開ける。日の光が眩しく視界が定まらない。
「鈴蘭!?」
「ひか・・・る?」
目を覚まし、数日後で退院。
「そんなことがあったのか。」
「うん。」
事故に遭ってからの夢を教えた。
「最後に初めて仮面の下を見た。顔を見た。とても優しい顔だった。」
「そうか・・・。俺の会は実らないな。」
「へ?」
「いや、なんでもない。」
「そう・・・。また、流星に会えるかな?」
「・・・会えるさ。忘れずに流星を求めたら。」
「うん。」
夢のような恋。
今はこっちを選んでしまったけれど・・・・
きっとまた貴方に会えるよね?
流星・・・。
fin
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