私は昔、おばあちゃんからこんな話を聞いた。
「鈴。蛍って知ってるかい?」
「うん。きれいな川にいてお尻のところが光るって虫でしょ?」
「そうだね。じゃ、冬の蛍は知ってるかい?」
「ううん。同じ蛍?」
「同じだけどね、少し違うんだ。その蛍は・・・。」
「夢・・・懐かしい、夢だったな。」
あれから7年。私は12歳。小学6年生。おばあちゃんは私が9歳の時に病で亡くなった。
「冬の蛍・・・か。」
体を起こし、リビングへ向かう。
「おはよう。」
「おはよう、今日は早いね。」
妹の風香が迎えてくれた。
「おはよう風香。幼稚園終わったら今日は雪だるまか雪うさぎ作ろうか。」
「うん!」
「鈴おはよう。今日も風香よろしくね。」
「任せて、よし、じゃ風香。幼稚園に行こうか。」
「うん。」
「風香・・・おばあちゃんが穂とあるの話したの覚えてる?」
「蛍?おやつ?」
「・・・あ、虫さん。きれいな虫さん。」
「ううん。知らない。」
「そっかー。確か・・・!!!本!本だ!」
「え?お姉ちゃん?」
「あ、ううん。何でも無いよ。」
「風香ちゃん!おはよう!」
「おはよう!」
「行ってらっしゃい!」
「行ってきます!」
幼稚園の中へと駆けでして行った風香。
「これで授業終わります。」
休み時間となり、私は教室を出た。
「鈴~。遊ぼうよ!」
「ごめん、ちょっと調べ物。」
「そっか、頑張ってね!」
「ありがとう。」
私は図書室へと向かった。この学校の図書室はとても広い。
「無いな。」
諦めて教室に戻ろうと出口へ向かう。
「あ・・・れ?こんな扉・・・あったっけ?」
出入り口より一回り小さな扉。鈴は扉を開け中へ入る。
「きゃ!・・あう!」
何かにつまずき、その振動で頭に何かが落ちてきた。
「う~。ん?これ・・・。」
その本を開く。
「これだ!!」
「お姉ちゃーん!」
「風香。今日も楽しかった?」
「うん。早く帰って雪うさぎ付くろ!!」
「うん。」
「できた!」
「すごいよ。風香、1人で作れたね。」
「うん。だって先生と何回も練習したもん!」
「そっか~。」
鈴は風香の頭をなでる。
「あ、風香。お姉ちゃん、今日学校の図書室でね、おばあちゃんが話してた冬の蛍の本を見つけたの、おばあちゃんが何回も読んでくれた本。」
「本当!」
【小さな女の子は雪が大好きでした。
ある日、両親が別々に暮らすと聞き、女の子は家を飛び出しいつの間にか山奥の森の中で迷ってしまいました。
「お母さーん!お父さーん!」
女の子は泣きながら歩いていると目の前を小さな光が通り過ぎていきました。さっきまで泣いていた女の子は泣き止み、その光についていきました。その先には大きな木がありました。その周りには小さな光の粒が飛んでいます。
「わぁ~きれい。」
女の子は手を合わせ、一緒に暮らしていけますようにと願った。遠くからお母さんとお父さんの呼び声が聞こえてきました。女の子は駆け出しました。その後、別々に暮らす話は無くなり、幸せに暮らしました。】
「明日、休みだからお姉ちゃんあの山に登って蛍見つけてお願い事してくるよ。」
「風香も行く!」
「駄目だよ。まずお姉ちゃんが行って見つけたら行こう?」
「う~。」
「じゃ風香は何をお願いするの?」
「お母さんとお父さんにお休みをくださいって!」
「お姉ちゃんも同じ、じゃ、お姉ちゃんが代表として行くね。」
「うん!」
「じゃ、行ってくるね。お父さんとお母さんには内緒だよ?」
「うん。」
静かに出て行く鈴。
「よし!」
「あれ?どうしよう。迷っちゃった。」
歩いても歩いても森、木。
「どうしよう。」
晴れていたのに雪が降り始め、次第に吹雪となってしまった。
「お母さん、お父さん、風香。おばあちゃん。助けて。」
進むにつれて、雪が弱まった。
「風香!お姉ちゃんは?」
「ひ、秘密!」
「知ってるのね?」
「お姉ちゃんが冬の蛍さんに願い事しに行くなんて言わないもん!」
「冬の蛍?」
風香は両手で口をふさいだ。
「やばいぞ!今頃山は吹雪のはずだ!」
「鈴!!」
「う~。」
目の前を小さな粒が通り過ぎた。
「これって・・・冬の蛍?」
鈴はその光について行った。
「うわぁ~。」
そこは絵本に書いてあったような大きな木があり、周りには小さな光の粒が飛んでいた。鈴は両手を組み祈りをする。
「冬の蛍さん。お願いします。お父さんとお母さんに少しでもいいのでお休みをください。」
言い終わると辺りが光を増していた。光の勢力が弱くなると光は1つの大きな塊となり、人の形となる。
「お・・・ばあちゃん?」
おばあちゃんは何も言わずに歩き出した。鈴は慌てて追いかけた。
「鈴!鈴~!」
「お姉ちゃーん!」
「お父さん。」
不安を隠せないお母さん。
「大丈夫だ。」
「鈴!」
「おばあちゃん!私、冬の蛍見つけたよ。」
笑顔を見せるおばあちゃん。でも、一言もしゃべってはくれない。
「鈴~!」
「あ!お父さんとお母さんの声!」
「おねぇぢゃん~!わぁ~ん!お姉ぢゃ~ん!」
今にも泣き出しそうな声で叫んでいる風香。
「おばあちゃん、行こう。」
鈴はみんなの許へ走っていった。
「お母さん!お父さん!」
「鈴!!」
「鈴!」
「お姉ちゃん!」
“パシン”
お母さんが私の許へ来て手を振り上げ私の頬に鈍い痛みがはしった。
「何処行ってたの!?こんなに吹雪いてるのに!心配したんだからね。」
次の瞬間鈴はお母さんに抱きしめられていた。
「ごめ・・・んなさい。ごめんなさい!!」
安心したからか鈴は泣き叫んでいた。
家に帰りどうして山奥へ行ったのかを話した。
「ありがとう。でもね、もうこんなことしちゃ駄目よ?」
「はい。」
「で、お姉ちゃん。見つけたの?」
3人とも私を見る。
「うん。とてもキレイだった。後ね、おばあちゃんに会ったの。」
「そうか。」
「うん。おばあちゃんに帰り道教えてもらったのでも・・・。」
「おばあちゃん、お母さんたちいたよ!」
振り返ると、そこには誰の姿も無かった。
「おばあちゃん?」
【早く行きなさい。皆が待ってるよ。】
「おばあちゃんも行こうよ!」
【ごめんね。おばあちゃんは鈴ちゃんと一緒に帰れないの。】
「ヤダ!」
【今度、また会いましょう。今度は晴れた日に皆でね。】
「約束だよ?」
【ええ。】
「おばあちゃんに感謝しなきゃね。」
「よし、今度休みができたら行こう。」
「うん。」
私たちはお父さんとお母さんが休みを取ることができ、おばあちゃんに会いに行くことになった。
「おばあちゃん!」
この物語は、小さな女の子が冬の蛍にお願い事をしに行く話し・・・。
fin
「鈴。蛍って知ってるかい?」
「うん。きれいな川にいてお尻のところが光るって虫でしょ?」
「そうだね。じゃ、冬の蛍は知ってるかい?」
「ううん。同じ蛍?」
「同じだけどね、少し違うんだ。その蛍は・・・。」
「夢・・・懐かしい、夢だったな。」
あれから7年。私は12歳。小学6年生。おばあちゃんは私が9歳の時に病で亡くなった。
「冬の蛍・・・か。」
体を起こし、リビングへ向かう。
「おはよう。」
「おはよう、今日は早いね。」
妹の風香が迎えてくれた。
「おはよう風香。幼稚園終わったら今日は雪だるまか雪うさぎ作ろうか。」
「うん!」
「鈴おはよう。今日も風香よろしくね。」
「任せて、よし、じゃ風香。幼稚園に行こうか。」
「うん。」
「風香・・・おばあちゃんが穂とあるの話したの覚えてる?」
「蛍?おやつ?」
「・・・あ、虫さん。きれいな虫さん。」
「ううん。知らない。」
「そっかー。確か・・・!!!本!本だ!」
「え?お姉ちゃん?」
「あ、ううん。何でも無いよ。」
「風香ちゃん!おはよう!」
「おはよう!」
「行ってらっしゃい!」
「行ってきます!」
幼稚園の中へと駆けでして行った風香。
「これで授業終わります。」
休み時間となり、私は教室を出た。
「鈴~。遊ぼうよ!」
「ごめん、ちょっと調べ物。」
「そっか、頑張ってね!」
「ありがとう。」
私は図書室へと向かった。この学校の図書室はとても広い。
「無いな。」
諦めて教室に戻ろうと出口へ向かう。
「あ・・・れ?こんな扉・・・あったっけ?」
出入り口より一回り小さな扉。鈴は扉を開け中へ入る。
「きゃ!・・あう!」
何かにつまずき、その振動で頭に何かが落ちてきた。
「う~。ん?これ・・・。」
その本を開く。
「これだ!!」
「お姉ちゃーん!」
「風香。今日も楽しかった?」
「うん。早く帰って雪うさぎ付くろ!!」
「うん。」
「できた!」
「すごいよ。風香、1人で作れたね。」
「うん。だって先生と何回も練習したもん!」
「そっか~。」
鈴は風香の頭をなでる。
「あ、風香。お姉ちゃん、今日学校の図書室でね、おばあちゃんが話してた冬の蛍の本を見つけたの、おばあちゃんが何回も読んでくれた本。」
「本当!」
【小さな女の子は雪が大好きでした。
ある日、両親が別々に暮らすと聞き、女の子は家を飛び出しいつの間にか山奥の森の中で迷ってしまいました。
「お母さーん!お父さーん!」
女の子は泣きながら歩いていると目の前を小さな光が通り過ぎていきました。さっきまで泣いていた女の子は泣き止み、その光についていきました。その先には大きな木がありました。その周りには小さな光の粒が飛んでいます。
「わぁ~きれい。」
女の子は手を合わせ、一緒に暮らしていけますようにと願った。遠くからお母さんとお父さんの呼び声が聞こえてきました。女の子は駆け出しました。その後、別々に暮らす話は無くなり、幸せに暮らしました。】
「明日、休みだからお姉ちゃんあの山に登って蛍見つけてお願い事してくるよ。」
「風香も行く!」
「駄目だよ。まずお姉ちゃんが行って見つけたら行こう?」
「う~。」
「じゃ風香は何をお願いするの?」
「お母さんとお父さんにお休みをくださいって!」
「お姉ちゃんも同じ、じゃ、お姉ちゃんが代表として行くね。」
「うん!」
「じゃ、行ってくるね。お父さんとお母さんには内緒だよ?」
「うん。」
静かに出て行く鈴。
「よし!」
「あれ?どうしよう。迷っちゃった。」
歩いても歩いても森、木。
「どうしよう。」
晴れていたのに雪が降り始め、次第に吹雪となってしまった。
「お母さん、お父さん、風香。おばあちゃん。助けて。」
進むにつれて、雪が弱まった。
「風香!お姉ちゃんは?」
「ひ、秘密!」
「知ってるのね?」
「お姉ちゃんが冬の蛍さんに願い事しに行くなんて言わないもん!」
「冬の蛍?」
風香は両手で口をふさいだ。
「やばいぞ!今頃山は吹雪のはずだ!」
「鈴!!」
「う~。」
目の前を小さな粒が通り過ぎた。
「これって・・・冬の蛍?」
鈴はその光について行った。
「うわぁ~。」
そこは絵本に書いてあったような大きな木があり、周りには小さな光の粒が飛んでいた。鈴は両手を組み祈りをする。
「冬の蛍さん。お願いします。お父さんとお母さんに少しでもいいのでお休みをください。」
言い終わると辺りが光を増していた。光の勢力が弱くなると光は1つの大きな塊となり、人の形となる。
「お・・・ばあちゃん?」
おばあちゃんは何も言わずに歩き出した。鈴は慌てて追いかけた。
「鈴!鈴~!」
「お姉ちゃーん!」
「お父さん。」
不安を隠せないお母さん。
「大丈夫だ。」
「鈴!」
「おばあちゃん!私、冬の蛍見つけたよ。」
笑顔を見せるおばあちゃん。でも、一言もしゃべってはくれない。
「鈴~!」
「あ!お父さんとお母さんの声!」
「おねぇぢゃん~!わぁ~ん!お姉ぢゃ~ん!」
今にも泣き出しそうな声で叫んでいる風香。
「おばあちゃん、行こう。」
鈴はみんなの許へ走っていった。
「お母さん!お父さん!」
「鈴!!」
「鈴!」
「お姉ちゃん!」
“パシン”
お母さんが私の許へ来て手を振り上げ私の頬に鈍い痛みがはしった。
「何処行ってたの!?こんなに吹雪いてるのに!心配したんだからね。」
次の瞬間鈴はお母さんに抱きしめられていた。
「ごめ・・・んなさい。ごめんなさい!!」
安心したからか鈴は泣き叫んでいた。
家に帰りどうして山奥へ行ったのかを話した。
「ありがとう。でもね、もうこんなことしちゃ駄目よ?」
「はい。」
「で、お姉ちゃん。見つけたの?」
3人とも私を見る。
「うん。とてもキレイだった。後ね、おばあちゃんに会ったの。」
「そうか。」
「うん。おばあちゃんに帰り道教えてもらったのでも・・・。」
「おばあちゃん、お母さんたちいたよ!」
振り返ると、そこには誰の姿も無かった。
「おばあちゃん?」
【早く行きなさい。皆が待ってるよ。】
「おばあちゃんも行こうよ!」
【ごめんね。おばあちゃんは鈴ちゃんと一緒に帰れないの。】
「ヤダ!」
【今度、また会いましょう。今度は晴れた日に皆でね。】
「約束だよ?」
【ええ。】
「おばあちゃんに感謝しなきゃね。」
「よし、今度休みができたら行こう。」
「うん。」
私たちはお父さんとお母さんが休みを取ることができ、おばあちゃんに会いに行くことになった。
「おばあちゃん!」
この物語は、小さな女の子が冬の蛍にお願い事をしに行く話し・・・。
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