僕はフロッシュ貴族の中のただ1人の子供だ。名前はバード。5歳だった僕は好奇心豊富な子で、いつも屋敷内を冒険したりして遊んでいた。

そんなある日、僕は小さな扉を見つけた。そこは屋敷の隅にある塔だった。僕は目を輝かせた。わくわく、ドキドキしながらドアノブを手にかけた。開ける。そこには・・・。




ただの物置部屋だった。

「つまんない・・・何か無いかな?」

扉を開ければ違う世界っていうのを期待していたバードは落ち込みながら辺りを見回した。

「ん?」

バードは1つの大きな置物に釘付けになった。

「何だろう?」

ゆっくりバードはそれに触れようと手を伸ばす。

「いけません!坊ちゃん!!」

ビクつくバード。

「これに触れてはなりません!」

「ごめんなさい。」

ジーは僕を抱き上げこの物置部屋から出た。でも、僕は見てしまったのだ。




                                そのモノの姿を・・・。




「坊ちゃん。もうあの部屋には入ってはなりませんよ。」

「はい!・・・ジー、さっきね、あれに誰も触れてないのに戸が開いて僕の姿をした人が手招きしてたんだ。」

「!!!」

「ジー?」

「バード坊ちゃん。貴方は今日からこの屋敷の敷地内から出てはいけません。」

「え?」

「坊ちゃんがあの鏡を封印するための鍵を見つけ出さなければなりません。」

「どこにあるの?」

「この屋敷内としか・・・。」

「僕頑張る!!」



あれから10年、僕は15歳になった。

「相変わらず、よく探し回るな。バード。」

「いいの!宝探しみたいで好きでやってるんだから!」

「あっそ。」

「ねぇシャドウ。鍵の場所どこか知ってる?」

「おい!楽しんで探してるんじゃねぇのかよ!てか、シャドウって呼ぶな!」

「いいじゃん。長い付き合いなんだし。」

「勝手にしろ!」

「あ、分かったシャドウ。君、今僕に構ってほしいんでしょ?」

笑顔を鏡の中のもう1人の自分、シャドウに向ける。

「あ?そういうわけじゃねぇし。・・・お前、考えたことないか?」

「ん?何を?」

「どうして鳥籠みたいな家の中に閉じ込められてるか。」

「さぁ・・・考えたことも無かった。」

「だろうな。別に鍵が無くても出れるんだぞ?」

「そうなの?」

「どうだ?出たいと思ったか?」

「・・・わかんないや。」

「・・・でもな、出る時、俺もお前と共に行動するんだ。」

「どういう意味?」

「バード・・・お前の影となって。」

「それだけ?それだけで、僕は外に出ちゃ駄目だったの?」

「やっぱ出たいんだ・・・。まぁ理由があるからな。」

「何か言った?」

「いや・・。」





「何処へ行かれるのですか?坊ちゃん!」

「えっと・・・。」

僕はあっさり見つかった。

「馬鹿だな。」

僕の近くにある鏡からシャドウは僕を馬鹿にする。シャドウは僕の近くにある鏡なら物置にある鏡では無くても存在することが出来る。そんなシャドウを僕は睨みつける。

「バード様。今の貴方様が街に行かれると大変なことになるのです。」

「うん。それは何回も聞いた。でも、僕が知りたいのはそんなことじゃない!」

部屋が静まり返る。

「僕が知りたいのはその先なんだ。その大変なことって何?」

「・・・バード様がバード様で無くなってしまうからです。」

「・・どういう意味?」

「はい。その鏡の中にいるシャドウがバード様の体をのっとり、人を襲う恐れがあります。」

「本当なの?」

「・・・ああ。」




「ねぇシャドウ。本当のこと言ってくれないかな?」

「何のことだ?」

呆れたように返事をするシャドウ。

「何かあって人に手を出したとかじゃないの?」

「何でそう思うんだ?」

「だってもう10年も一緒だよ?」

「それが?」

「僕だってシャドウのことはだいぶ分かるようになったし・・・それにシャドウも僕のこと分かるんでしょ?」

「・・・まぁな。・・・しゃない。話、長くなるけどいいか?」

「もちろん。」

シャドウから柔らかい笑みが零れた。

「あれは今から100年前のこと、ここの主が鏡、俺を見つけ購入した。娘のミラーの誕生日に俺を渡した。」

「・・・もしかしてその時シャドウは女になってたの!?」

「!!!・・・こほん。ミラーもバードと同じ反応してたよ。本来俺は男でも女でもない。でも、こんな俺でもミラーもバードも俺のことを友のように相手をしてくれた。」

「当たり前だろ?」

「いちいち口を挟むな!黙って聞け!ったく。その時のミラーは自由に外に出かけたりしていた。もちろん俺も一緒にな。」

                                         *
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「ねぇシャドウ。見て!これとてもキレイよ!」

ガラスケースの中にあるきれいなモノに目をキラキラさせるミラー。

「そうだな。」

シャドウは辺りを見回す。

「ミラー。体借りるぞ。」

「え?うん。」

俺は急いで走って家まで戻った。帰ろうとした。でも・・・

「お嬢ちゃん。君、あのフロッシュ貴族の娘さんだね?」

「・・・。」

「答えろよ!」

【シャドウ、代わって。】

あの時代わってやるんじゃなかった。なんとしてでも、ここから逃げ出せばよかった。

「そうです。私は、フロッシュ・ミラーです。」

「じゃ、大人しく付いて来てもらおうか。大人しくしてれば何もしないから。」

「・・・はい。」

【おい!】




もちろんミラーは監禁された。俺は耐え切れなくなって本人の意思は関係なく体をのっとった。そして、その家を放火した。もちろん、後のことなんざ考えてなかったから、街も燃えた。

                                         *
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「でもさ、それって、そのミラーって子を守ろうとしただけだよね?」

「・・・。」

「・・・。」

2人に沈黙が訪れる。

「俺も、お前も本当に鳥籠の中にいるようだな。」

「そうだね。家が鳥籠か・・・。ねぇ、シャドウ。僕は鳥は自由であるべきだと思うんだ。」

「それが?」

「僕らは鳥で、ここは鳥籠の中。じゃ自由に羽ばたかなきゃ!!」

「でも、どうやって外に出るんだ?」

「あー。玄関から・・・。」

「馬鹿か?お前さっきそこで見つかっただろ?」

「じゃどうすればいいのさ。」

「窓から出るんだ。紐をたらして。」

「そっか!」

僕らは見つからずに屋敷を出ることが出来た。




「わぁー!久しぶりの街だ!!」

「わぁ~ん!お母さ~ん!!」

店の角から男の子の泣き声が聞こえそこへ2人は向かう。

「どうしたのかな?お母さんとはぐれちゃったの?」

「う・・・うん。」

「じゃお兄ちゃんと一緒に探そうか。」

「うん。」




その子のお母さんを見つけたのは日が暮れかかっている時だった。

「遅くなっちゃったね。」

「そうだな。」

「今頃、屋敷の中騒がしいだろうね。」

「いいんじゃねぇの?」

急にバードは静かになり、真剣な顔になる。

「ねぇシャドウ。誰か居る?」

「そうだな。2人・・いや3人か。」

それを聞いた途端走り出した。

「逃げなきゃ!1人だったら別だけど、3人とか相手・・・僕じゃ無理だし!」

「だな。だが、その時は俺が・・・。」

「駄目だよ!折角何も無く帰れるのに!」

「だがなぁ・・・。」

「大丈夫!近道に抜け道があるから。」

入り組んだ道をスルスル通って行く。

「つ・・・いた。」

「坊ちゃん!何処へ行っていたのですか!」

「ごめん。ジー。でも、僕が外出ても何も無かったでしょ?」

「しかし・・・。」

「シャドウ。本当のこと教えてあげなよ。」

「・・・。」

「坊ちゃん?」

「・・・俺はシャドウ。」

「!!!」

「俺はわけあって100年前の事件を起こした。」

事情を知り、ジーは理解をしてくれた。



「ありがとな。」

「どうしたのさ。シャドウらしくないな。」

「うるせぇ。・・・でも、本当にありがとな。」

バードは鏡に映る自分に笑顔を向ける。

「・・・本当、ミラーとバードはそっくりだ。」

「100年前なんだから、もしかしたら生まれ変わりかもね。」

「かもな。」

その夜2人は笑いあった。




それから10年後。

「誰かその人捕まえて!!」

「シャドウ行くよ?」

「おう!」

バードの体を借りたシャドウがその人の前に飛び出し取り押さえる。周りからは歓声の声が響き渡る。

「ありがとうございます。」

「いえ。」

「ねぇあの子。貴族のフロッシュ・バード様ではありません?」

「そういわれてみれば。」

「街のために働いてくれるなんて、何て優しい紳士なのかしら。」




「シャドウ。落ち込まないでよ。」

「うるせぇ。」

と、日々このように平和にシャドウと共に暮らしている僕。


シャドウと会わなければ、今の僕は居なかっただろう。



今は、そう思えるほど幸せだ。






                                       fin
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