「待った?」

「ううん。」


一人の男と一人の女は並んで学校に登校していた。

私、光瑠(ひかる)、高校3年生。隣を歩いている男は竜児(りゅうじ)。私と同じ学年で同じクラスで彼氏です。

私たちの恋の始まりは登下校時に使う坂道でした。

「はぁ~。この点数、お母さんに見せられないよ。」

テストの点を見ながら坂道を下っていた私。トラックがものすごいスピードで私の横を通り過ぎた瞬間。

「あ!!ま、待って!!」

テストが空高く舞い上がり前へ飛ばされていた。焦る私の目の前で男子学生が私のテストを捕まえていた。

「す・・・すみませーーん!!」

余計なことをしなくてもいいのに、私のテストを見る同じクラスの男。

それが竜児だった。

「げっ!!」

「くっ・・・光瑠・・・お前。」

私と竜児は小学校の時からの縁のため、名前で呼ぶ仲だった。

「み!・・・見ないで!!」

無理やりテストの紙を奪いたいのに背が違いすぎるため高く上げられるともう手遅れだった。

「じゃ、この質問に答えたら返してやる。」

「な・・・何?」

「光瑠は・・・好きなやついるのか?」

「へ?」

竜児の顔は少し赤くなっていた。

「そういう竜児はどうなのよ!」

「俺が質問してるんだ!これ返してほしくないのか?」

「い・・・いるよ!」

「・・・まじで?」

「は・・・早く返してよ!」

「誰だよ!」

「え?・・・ええ!いるかいないかだけじゃなかったの!?」

「・・・。」

私はこの時考えたの。これはチャンスなんじゃないかって・・・。だから・・・。

「・・・児。」

「あ?」

「竜児。」

竜児を指す。

「俺?」

「・・・うん。」

こうして小学生レベルの告白?で私たちは付き合い始めた。


それは高校1年生の時。あれから2年がたち、私たちは受験生。

「竜児って進路決まったの?」

「う?あ・・・あぁ。」

いつもと反応が違うと思った。それと同時に胸騒ぎもあった。聞くのが怖く、私は違う話題へと変えたのだった。


「ねぇ、光瑠。竜児君から何か聞いた?」

友人からの一言がきっかけで私たちの時間は止まったのだった。

「光瑠。」

そこにちょうど竜児が現れ、私たちは屋上へ向かった。

「竜児・・・。」

「俺、イタリアに行きたいんだ。」

「え?」

「イタリアに行って・・・もっと絵の勉強してきたいんだ。」

行っちゃ嫌だと言いたい。けれど私はその言葉を飲み込んだ。

「そ・・なんだ。イタリアってどこら辺だっけ?」

これが私の精一杯の返事だった。そんな私に気付いてか優しく抱きしめ場所を教えてくれた。場所を教えたところでムードぶち壊しなんだけどね。ふと、私は思った。私たちの関係はどうなるんだろうって。


下校はいつもの様に2人で帰っていた。ふと、道の掲示板を見ると明日に神社でお祭りが行われるという紙を見つけた。私は最後になる思い出にはいいなと思い、意をけして竜児を誘おうと思ったが・・・。

「光瑠。明日祭りあるって。行こう?」

「・・・うん!!」

やっぱり竜児から誘ってくるのだ。


「今日はいい思い出になるといいな。・・・これで・・・最後・・・か。」

「光瑠!時間いいの?」

「もう出る!」


神社集合。

神社の門にはすでに竜児がいた。私を探しているのかキョロキョロしていた。ふと目が合い、立ち止まっていた私は竜児の元へ歩き出す。

「ごめん。だいぶ待ったよね?」

「・・・そ、そうでも・・・ない。」

竜児の目は泳いでいた。

「行こうか。」

私に差し伸べる手を取る。

「うん!!」


「よし!光瑠が寂しがらないように金魚を沢山取ってやる!!」

ヨーヨーをたたきながら言う竜児の後姿を見ていた。

「早く来いよ!はぐれるだろ?」

「う・・・ん。」

私は今にも泣きそうだった。私たち離れていても関係は変わらないんだね。

「よし!やるぞ!!」

器用な竜児は次々と金魚をすくっていく。

「あー。おっちゃん。5匹でいいや。」

「兄ちゃんすごいね!彼女すごさに泣いちゃってるぜ?」

え?私・・・泣いちゃってたんだ。

「光瑠・・・?ちょっと来て。」

私の手を引っ張って人気なない森へと入って行った。そこは中心に岩があり、上は星空で一杯だった。

「き・・・れい。」

美しさで止まらなかった涙が止まった。

「光瑠・・・思っていること・・・全部言えよ?」

「え?」

「どんだけの付き合いだと思ってる?言いたいこと言えないでいるなんてあの時に分かってたんだよ。」

「・・・だって・・・嫌われちゃうと思って・・・。」

「そんなわけ無いだろ?」

「・・・本当は・・・本当は離れたくないよ!」

また涙が流れる。そんな私を優しく抱きしめてくれる。

「良かった。光瑠、そんなこと言わないから俺のことそんなに好きじゃなかったのかなって少し不安になったんだよ。」

「・・・でも行っちゃうんだよね?」

「・・・ああ。でも俺は光瑠だけだよ。その印はこれだ。」

ネックレスだった。ハートの・・・ネックレス。

「これ・・・。」

「本当は指輪にしたかったけどな。その・・・将来・・・俺は光瑠と・・・結婚したいから・・・その時にでもって・・・。」

恥ずかしいことをサラリと言う竜児は天然なのかこっちが熱くなってしまった。

「で?返事は?」

「へ?今?」

「言っとくけど、俺たち親の承諾があれば出来るんだからな!」

「そ・・・そのくらいは知ってる・・・よ?」

「知らない部分あったんだな。」

「返事・・・聞かなくていいの?」

「聞く。」

「答えはOK。」

2人は約束のキスをした。漫画やドラマでよくあるシーンの様に私たちの後ろで花火が打ち上げられていた。甘い時間はあっという間に過ぎ、竜児はイタリアへと旅立った。『帰ってきたら1番最初に描く絵は光瑠な』という言葉を残して。


それから5年・・・。


「行ってきまーす。」

「今日も遅いの?」

「わかんない。たぶん。」

家の門を見るとそこに男の人が立っていた。

「光瑠・・・。ただいま。」

「竜児・・・。お帰り!!」

あの時止まった時間、私たちの時間がまた動きだした。

                               fin
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