出逢うべき出会い

季節は冬。ロゴスと戦い、鬼斬丸を再び封印することが出来、平和な学校生活を送っている春日珠紀。

「あ、いた。」

静かな図書室。窓から夕日が差し込み1人そこに立って本を読んでいる姿があった。

「祐一先輩。何読んでるんですか?」

今まで珠紀に気付いていなかった祐一だが驚いた表情を見せない。しかし、珠紀には分かっていた。

「斎藤一物語を読んでいた。」

「どんな話なんですか?」

珠紀が本に触れようとすると祐一はその本を投げた。

「え?」

「少し、隠れてろ。」

本が光出し、その場に2人の男女の姿が現れた。

「え?ええ!?」

珠紀は何が何だか分からない状態。

「ここは、いったい。」

「私たち、確か一緒に・・・。」



「千鶴。」

「はい。」

「その・・・散歩でもしないか?」

「はい!」

外はまだ肌寒く、一面真っ白だった。

「久しぶりに一さんと一緒に雪うさぎを作りたいです。」

「そういえば、作ったな。」

2人は葉っぱや赤い実を捜していた。



「久しぶりに遊びのようなことをすると疲れてしまいましたね。」

「少し横になろうか。」



「・・・で、寝てましてよね?」

「ああ。・・・しかし・・・。」

ふと珠紀と目が合う2人。

「あの・・・。」

「祐一先輩。」

助け舟を求めたが・・・、

「すー・・・。」

祐一は、寝ていた。

「ゆ、祐一先輩!!」

「あ、すまん。」

「あの・・・ここはどこですか?」

「季封村の紅陵学院高校の図書室です。」

「あ、私、ゆ・・・斎藤千鶴と申します。」

「俺は斎藤一だ。」

「私は、玉依姫・・・巫女の春日珠紀です。」

「俺は狐邑祐一だ。」

「・・・。」

一と祐一は無言で見合っていた。

「は・・・一さん?」

「祐一先輩?」

「この者からただならぬ気配を感じる。」

「・・・すー・・・。」

「ゆ、祐一先輩!」

「大丈夫みたいですよ?」

「あの、お2人に伺いたいことがあるんですけど・・・。」

「はい?」

「2人からは人とは思えないものを感じて・・・。」

「・・・。」

珠紀に優しい笑みを見せる。

「はい。私は鬼です。」

「俺は変若水ってのを千鶴を守るのに・・・自分の使命を果たすために飲み、鬼のなりそこないとなった。」

少し落ち込んだ様子の千鶴。それに気付いた斎藤はあたふたし始めた。

「とりあえず珠紀の家に泊めてやれ。」

「はい。」

「あの・・・私からも質問してもいいですか?}

「はい。」

「2人はどういう関係ですか?」

「・・・恋人だ。」

「ゆ、祐一先輩!?」

「違うのか?」

「い、いえ。」

顔を真っ赤にする珠紀。


「お稲荷さん。」

祐一の大好物のお稲荷さんが有り、少し目を輝かせていた。

「弧邑さんは、お稲荷さんが好きなんですね。」

「斎藤さんにはあるんですか?」

「・・・豆腐。」

「・・・。」

「珠紀さんは?」

「私ですか?う~ん。甘い物です。」



「何だかロゴスとの戦いが始まる前の賑やかさを思い出しますね。」

縁側に並ぶ珠紀と祐一。

「・・・すー・・・。」

「・・・あ、やっぱり。」

少し呆れた顔をするがすぐに微笑みと変わり、掛け布団をかけてあげた。

「どうやったらあの2人は、帰れるのかな?」



「千鶴・・・。」

「はい。」

「俺は1日でも刀を構えないことはあっただろうか?」

「多分、今日だけですね。」

「たまには、こういう日もあってもいいものだな。」

「・・・はい!」

満面の笑顔を一に見せる千鶴。

「も・・・もう寝るとしよう。疲れただろう?」

「はい。」

2人は眠りに付いた。



その頃、珠紀たちも2人寄り添って眠りについていた。



「ん・・・。ここ・・・一さん。」

「千鶴か・・・。ん。戻って来れたようだな。」

「・・・やっぱり、あれは夢では無かったんですね。」

「そういうことだな。」

「なんだか、またこんな日があってもいいですね。」

「そうだな。」

やわらかく笑う一だった。



「ん・・・。祐一先輩!」

「・・・。珠紀か。」

「2人の気配が無いです。」

「・・・帰ったんだろうな。」

「・・・。」

「そう寂しそうな顔をするな。俺がお前の傍に居る。」

「はい!」

嬉しそうに返事をする珠紀だった。

「星・・・きれいだな。」

「あの2人もこんなきれいな星空を見てたらいいですね。」

「ああ。」




                                     end
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