鴉取 真弘と春日 珠紀
「せ、先輩!?く、苦しいですよ!なんで・・・・・」

一瞬、世界が斜めになったと思ったら、次の瞬間には真弘先輩に抱き寄せられていた。

驚いて思わず抵抗してしまったけど、真弘先輩の腕はびくともしない。

「うるせ。おまえがそういう顔してんのは見たくねえんだよ」

「こうしてると、少し安心できるだろ」

強く抱き寄せていた腕から力を抜くと、優しく私の頭をなではじめる。

私も身体の力を抜いて・・・・・その胸元に身を預けてみる・・・・・。

先輩の心臓の音が聞こえる。ちょっと早くて、でもなんだか安心できる音。

なにか大きくて温かいものに心ごと包まれてるみたいで・・・・・。

今なら・・・・素直になれそうな気がする・・・・・。

「・・・・・私、玉依姫になっちゃったよ」


「玉依姫なんて・・・・・・私に務まるのかな」

「またそんなこと考えてやがったか」

「俺が知るかよ。やってみなきゃわかんねえだろ、そんなもん」

・・・・・うぅ、ちょっとひどい・・・・・。

「でもまあ、おまえだけじゃ心配でしょうがねえし」

「ついててやる。守ってやるよ」

「この鴉取真弘様がついててやるんだ。安心して好きにやってみろ」

「・・・・・うん」

「だから今は・・・・・。もうちょっと近くに寄れよ」

私は返事の代わりに、先輩の胸元に頬を押しつける。

これでもかってくらいにぎゅうぎゅうに。

この先・・・・・なにがあっても私を守ってね。

いつでも側にいて・・・・・いつでも駆けつけてね。

いつでもこの胸の中に抱きしめてね。

そして・・・・・いつまでも私と一緒にいてね。
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