狐邑 祐一と春日 珠紀
私の首の後ろに両手を回して、その首飾りをつけてくれた。

首筋に、祐一先輩のきれいな手が当たる。

手が、髪をかすかに撫でていく。

す、と柔らかく空気が抜けていく。先輩は私を見つめている。そこにはかすかに優しさや温かさみたいなものがあるような気がした。

そういえば、先輩と初めて会った時にも、同じようなことがあったなって思い出す。

あの時も、きれいな夕暮れで、私はなんてきれいな人なんだろうって、祐一先輩を見て思ったんだ。

今もその感情は変わらずにあって、むしろ、初めて会った時より、今のほうがずっと強く感じる。

たぶん今は、この人がすごく優しい、気持ちの温かい人だからって知ってるから。

なんだか、すごく、緊張して、頭の中が熱くなる。

「・・・・・よく、似合うな。思った通りだ」

いつの間にか、先輩は穏やかに笑んでいた。

私は少しうつむく。まともに、顔が見られなくて。

「・・・・・ありがとう、ございます」

やっと出た声はかすれていた。この反応は、変じゃないだろうか。先輩に変なヤツって思われたらやだなって、そう思った。

私たちはしばらく黙っていた。私は一人で、なんだか私たちは恋人同士みたいだなって思って。

そう思うとさらに恥ずかしくなって、まともに顔が見れない。
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