鴉取 真弘と春日 珠紀
しかし、不意に、同じようなエネルギーの解放が、私の隣でも感じられた。

「ふざけんな!おまえ、一人、逝かせやしねえぞ!俺たちは、一緒に生きて!帰る!」

私は自分の目から涙が溢れてくるのを知り、それから再び、自分の命をエネルギーに変えて、刀に注ぎ込む!

真弘先輩の体からもそれに呼応するようにエネルギーが流れ込み!

それらは光の渦となって、刀の放つ力を覆う。

代々、鬼斬丸を封じ続けてきた玉依姫の血と千年ものあいだ、鬼斬丸を封じる力を成長させ続けてきたヤタガラスの血。

二つの血の中に眠る力が、一つに交りあっていく。禍々しい鬼斬りの力に、それは匹敵するくらいの力となる!

命を捨てる覚悟なんて、私たちにはもとよりない。これは、逝き続ける覚悟。

大切な人と一緒に、生き続けるために。

私たちは、命を諸す。

ピシリ!

音が鳴る!果てしない時の中で、人の罪に染まり続け、戦いの源であり続けてきた鬼斬丸の刃に、ヒビが!

「壊せ!呪縛を!人の罪を!運命を!悲劇を!伝説を!神を!絶対を!ぶち壊せぇえええええ!」

真弘先輩の叫びに私の心は同調し。

ピシピシピシピシピシ!

刀のヒビは大きくなり。

私たちは最後の力を流し込む!

光が溢れる。鬼斬丸に封じられていた力が!その刀身からあふれ出る。

凄まじい白い光の中で、私たちの手から鬼斬丸が消えていくのが、わかる。
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