鴉取 真弘とツヴァイ
二人は、走り出す。

そこにはもはや、守護者としての力も、死神としての力もない。

純粋な己のみがあり、その魂を、それぞれの刃にかけて、二人は!

ズバ!

命を奪う一撃が耳に残る。

二人の刃が交錯することはなかった。お互いがお互いの致命傷を狙い。

しかし、その命を奪ったのは、死神の鎌ではなく、真弘先輩の剣だった。

「・・・・・いい太刀筋だな」

真弘先輩はそう呟く。

「・・・・・光栄だ」

ツヴァイは、いや、ユーゴはゆっくりと笑った。

赤い目に映ろう、不吉な光はもはやない。その目から涙が一筋、流れ落ちる。

それが魂を欲し、無数に命を奪ってきた者の笑顔だとは思えないくらいの。

優しい笑顔で、ユーゴは真弘先輩を見る。

「・・・・・・やっと、解放される」

ユーゴは呟く。

「ほんとうはずっと嫌だった。人の生を、摘み取るのが」


「・・・・・・あの世で、殺したやつに詫びてこい」

「俺はいつか、許される時がくるのか?」

「他のヤツのことなんか、俺が知るか。・・・・・でもな、ユーゴ。俺自身は少し、許してやってもいいかって、思ってる」

真弘先輩は悲しそうに言って。

「・・・・・そうか。ありがとう」

そう言って、ユーゴは倒れ、もう二度と起き上がることはなかった。
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